
SNSは、企業にとってもはや「使っていて当たり前」の存在になりつつあります。
広報活動・採用・ブランディング・キャンペーン告知など、SNSの可能性は多岐にわたります。
しかしながら、その便利さと即時性の裏にはリスクも潜んでいることを忘れてはいけません。
本記事では、企業が直面しやすいSNSのリスクと、実践的な対策をわかりやすく紹介します。
SNS運用に潜む主なリスクとは?
以下は、企業が陥りやすいSNSの主なリスクをまとめたものです。
リスクの種類 | 内容の概要 |
---|---|
炎上リスク | 不適切な投稿やコメント返信により、批判が殺到し企業イメージが悪化する。 |
情報漏えいリスク | 投稿写真や文章に、意図せず社内機密や個人情報が含まれる場合がある。 |
アカウント乗っ取り | ハッキングにより第三者が不正に投稿し、信頼を失う可能性がある。 |
法的リスク | 著作権や薬機法、景品表示法などに違反する投稿が、企業責任を問われる要因に。 |
これらはどの企業でも起こりうる問題であり、アカウントの規模やフォロワー数に関係なく発生する可能性があります。
炎上リスクの具体例
炎上のきっかけになるのは、次のような投稿や行動です
- 時事問題や災害に関する軽率なコメント
- 差別的・偏見的な表現(意図せず使用していることも多い)
- 顧客のクレームへの攻撃的な返信
- 他社・競合を揶揄する投稿
一度炎上すると、ニュースメディアに取り上げられたり、
過去の投稿までさかのぼって掘り返されるなど、長期間にわたり悪影響が残る場合もあります。
対応策①:SNS運用ポリシーを整備しよう
企業としてSNSリスクに備えるためには、ガイドラインの策定が必須です。
以下のような項目を明文化し、関係者に共有しましょう。
SNS運用ポリシーに含めるべき要素
- 投稿前に確認するチェック項目
- コメントやクレーム対応の基本ルール
- 投稿禁止内容の具体例(差別・政治・宗教など)
- 万が一炎上した際の社内報告フロー
- 社外アカウントとのやり取りのルール
このようなポリシーは、定期的に見直してアップデートすることも大切です。
対応策②:投稿前のチェック体制を整える
「うっかりミス」は重大なリスクにつながることもあります。
そのため、**複数人で投稿内容をチェックする仕組み(ダブルチェック制)**が有効です。
チェック時に見るべきポイント
- 誤字脱字がないか
- 社外秘の情報が含まれていないか
- 差別的・偏見的表現になっていないか
- 画像・動画の背景に注意すべきものが映っていないか
- ハッシュタグやURLの誤りがないか
これらをチェックリストとして運用し、属人的な判断を避けることがポイントです。
対応策③:セキュリティ対策の強化
SNSアカウントの乗っ取りは、企業にとって非常に深刻な問題です。
以下のような基本的なセキュリティ対策は、必ず行いましょう。
アカウント管理の基本ルール
- 2段階認証を有効に設定する
- パスワードは定期的に変更する(最低3ヶ月ごと)
- パスワードは他ツールと使い回さない
- パスワード管理ツールを活用して情報を一元管理する
- 社内でのアクセス権限を必要最小限に限定する
これらは初歩的に見えるかもしれませんが、
実際のトラブルは「基本が守られていなかった」ことが原因のことが多いのです。
対応策④:法令違反を防ぐための知識と体制づくり
SNS上では以下のような法律に注意が必要です。
法律名 | 概要 | 企業アカウントで注意すべき点 |
---|---|---|
著作権法 | 他人の著作物を無断で使用しない | 画像・音楽・文章の引用・転載に注意 |
景品表示法 | 消費者に誤認させる表現を禁止 | 「No.1」や「最安値」などの記載は根拠が必要 |
薬機法 | 医薬品等の効果を誇張しない | 健康食品や化粧品の効能を断定的に書かない |
社内に法務担当者がいない場合は、外部の専門家にチェックを依頼することも検討すべきです。
対策⑤:定期的な社内勉強会と振り返りを実施
日々変化するSNSのルールやトレンドに対応するには、継続的な学びと見直しが必要です。
社内で次のような機会を定期的に設けると、トラブルの防止につながります。
定期的に行いたい取り組み
- 炎上事例を共有し、分析する勉強会
- 月1回のSNS運用ミーティング(KPI報告+リスク確認)
- 各SNSプラットフォームの仕様変更チェック
- ロールプレイでのコメント対応訓練
- 新入社員向けSNS研修の導入
これらを習慣化することで、SNSリスクを予防からマネジメントへと進化させることができます。
まとめ:SNSリスクは「準備と継続」で最小化できる
SNSの力を活用すれば、企業の認知・信頼・売上は大きく伸ばせます。
しかし、リスクと無縁である企業は存在しません。
大切なのは「使わない」ことではなく、「使い方を学ぶ」こと。
しっかりとした運用体制・チェック体制・教育体制を整えることで、
安心してSNSを活用できます。
リスクをチャンスに変える視点を持ち、
SNSを企業の武器として育てていきましょう。